電気工事業登録について

電気は生活を営む上で欠かせないインフラの一つです。
生活の役に立つ一方で、一歩間違えると重大な事故になる危険性があり、丁重に扱うことが必要です。

電気が関わってくる工事は基本的に電気工事業登録という登録をしている業者が行わなければなりません。
登録には様々な条件があり、そのすべてをクリアする必要があります。

今回は、電気工事とそれを業として行う場合の電気工事業登録について解説していきます。

1.電気工事ってなに?

電気工事については電気工事士法で規定されています。

 この法律において「電気工事」とは、一般用電気工作物又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事をいう。ただし、政令で定める軽微な工事を除く。

e-Gov法令検索電気工事士法第二条第3項より引用

政令で定める軽微な工事とは下記の①~⑥に当てはまる工事のことを言います。

①電圧600V以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器、ナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事
②電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ。)又は電圧六百ボルト以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同じ。)をねじ止めする工事
③電圧600V以下で使用する電力量計若しくは電流制限器又はヒューズを取り付け、又は取り外す工事
④電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が36V以下のものに限る。)の二次側の配線工事
⑤電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置し、又は変更する工事
⑥地中電線用の暗渠又は管を設置し、又は変更する工事

2.電気工事業ってなに?

電気工事業とは、有償、無償関係なく、継続して他の者から依頼を受けた電気工事を実施することです。
電気工事士免状を有する者が自宅の電気工事を行う場合等はこの法律の電気工事業には該当しませんが、電気工事士法での定めがあります。

3.申請は必要なの?

電気工事業を営む際は基本的に必要ですが、下記の工事については不要です。
①請負った電気工事の施工をすべて他の者に下請に出し、自らその電気工事を行わない場合。
②家庭用電気機械器具の販売事業者で使用電圧が200V未満の家庭用電気機械器具の販売に伴い、その器具の専用コンセントの取付等を販売したもの自ら行う電気工事で次に掲げる電気工事以外の電気工事のみ行う者。(電気工事業法ではなく電気工事士法の規制になります。)
 ・幹線の設置または変更の工事
 ・分岐回路の設置工事
 ・屋側、野外配線に係る工事
③住宅メーカーがアフターサービスとして行う電気工事

電気工事業に関する申請は下記の4種類に分かれています。

①登録電気工事業者:建設業許可を受けずに電気工事業(自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む者を除く)を営む場合
②みなし登録電気工事業者:建設業許可を受け、電気工事業(自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む者を除く)を開始した場合
③通知電気工事業者:建設業許可を受けずに自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む場合
④みなし通知電気工事業者:建設業許可を受け、自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む場合

登録申請者が下記のいずれかに当てはまる場合、登録申請が拒否されます。

第六条 経済産業大臣又は都道府県知事は、登録申請者が次の各号の一に該当する者であるとき、又は登録申請書若しくはその添附書類に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 この法律、電気工事士法第三条第一項、第二項若しくは第三項又は電気用品安全法(昭和三十六年法律第二百三十四号)第二十八条第一項の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
二 第二十八条第一項の規定により登録を取り消され、その処分のあつた日から二年を経過しない者
三 登録電気工事業者であつて法人であるものが第二十八条第一項の規定により登録を取り消された場合において、その処分のあつた日前三十日以内にその登録電気工事業者の役員であつた者でその処分のあつた日から二年を経過しないもの
四 第二十八条第一項又は第二項の規定により事業の停止を命ぜられ、その停止の期間中に電気工事業を廃止した者であつてその停止の期間に相当する期間を経過しないもの
五 法人であつて、その役員のうちに前四号の一に該当する者があるもの
六 営業所について第十九条に規定する要件を欠く者

e-Gov法令検索電気工事業の業務の適正化に関する法律より引用

4.電気工事業登録業者の義務

電気工事業登録を申請するには下記のような条件があります。
①主任電気工事士の設置
②測定器具の備え付け
③標識の掲示
④帳簿の備え付け
⑤電気用品の使用の制限
⑥電気工事の従事制限
では、上記について解説していきます。

 ①主任電気工事士の設置

一般用電気工作物に係る電気工事を行う営業所ごとに設置しなければなりません。
一般用電気に関する工事に従事する方は主任電気工事士に従う必要があります。
また、主任電気工事士が欠けた場合は2週間以内に後任を選任しなければ電気工事業法第三十九条第一項により、三万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
主任電気工事士の要件は、第一種電気工事士又は第二種電気工事士の免状の交付日以後3年以上の実務経験を有する第二種電気工事士です。
なお、第二種電気工事士免状を所持し、認定電気工事従事者認定証を取得されている方は、電気工事業の申請時に届け出ることで、600V以下の自家用電気工作物の作業も行うことができます。

 ②測定器具の備え付け

電気工事業を営む場合は営業所ごとに次の器具を備える必要があります。
①一般用電気工作物の工事のみを行う営業所
 ・回路計
  (抵抗、交流電圧測定可能なもの)
 ・絶縁抵抗計
 ・接地抵抗計
②一般用電気工作物・自家用電気工作物の工事を行う営業所
 ・回路計
  (抵抗、交流電圧測定可能なもの)
 ・絶縁抵抗計
 ・接地抵抗計
 ・低圧検電器
 ・高圧検電器
 ・継電器試験装置
 ・絶縁耐力試験装置
  (⑥及び⑦の試験装置の備え付けは、必要なときに使用できるよう措置が講じられていることも含む)

 ③標識の掲示

営業所および2日以上にわたり電気工事を行う施工場所ごとに、電気工事業者であることの標識を掲げなければなりません。
なので、一日で終わる工事については標識は不要です。
標識の見本は下記になります。

引用:大阪府電気工事業の手引きp.10より

 ④帳簿の備え付け

電気工事業の業務の適正化に関する法律施行規則により、営業所ごとに次の事項を記載した帳簿を備え、5年間保存しなければならない義務があります。
・注文者の指定又は、名称及び住所
・電気工事の種類及び施工場所
・施工年月日
・主任電工事士等及び作業者の氏名
・配線図
・検査結果

 ⑤電気用品の使用の制限

電気用品安全法に定める所定の表示(PSEマーク)が付されている電気用品でなければ電気工事に使用できません。

 ⑥電気工事の従事制限

電気工事業登録をしている事業者は電気工事についての従事制限が設けられます。
下記の①~⑤について違反すると電気工事業法第三十七条第一号により三か月以下の懲役もしくは三万円以下の罰金またはその両方が科せられる場合があります。
① 第一種電気工事士でない者を自家用電気工事の作業に従事させてはなりません。
② 第一種電気工事士又は第二種電気工事士でない者を一般用電気工事の作業に従事
させてはなりません。
③ 特殊電気工事(自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)のうち、ネオン工事及び非常用予備発電装置工事)については資格者でない者を特殊電気工事の作業に従事させてはなりません。
④ 認定電気工事(最大電力500kW未満の需要設備(「自家用電気工作物」という)のうち、電圧600V以下で使用する電気工作物の工事(電線路に係るものを除く)(簡易電気工事))従事者でない者を自家用電気工作物の簡易な電気工事に従事させて
はなりません。
⑤ 電気工事を、電気工事業法にいう「電気工事業を営む電気工事業者」でない者に
請け負わせてはなりません。

5.まとめ

以上、電気工事業登録について解説しました。
電気工事業の登録は建設業許可を取っていたとしても必要なので、お気を付けください。
拒否される条件もありますので、拒否される条件に当てはまってしまった場合、その方を役員から退ける必要があります。