【建設業許可の変更届】
決算変更届について

建設業許可業者にとって避けては通れないのが、決算変更届の提出です。
決算変更届は建設業法により、事業年度終了後4か月以内の提出が義務になっています。

集める書類は新規許可の際の書類数と比べると少ないですが、毎年やらなければならないので手間や負担がかかってきます。

今回は、そんな決算変更届について詳しく解説します。

1.決算変更届ってなに?

決算変更届という名称は大阪特有のもので、都道府県によって呼び方が異なります。
なお、建設業法では次のように記載されています。

 許可に係る建設業者は、毎事業年度終了の時における第六条第一項第一号及び第二号に掲げる書類その他国土交通省令で定める書類を、毎事業年度経過後四月以内に、国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。

建設業法第十一条第2項より引用

つまり、決算変更届とは建設業許可がある業者が、決算終了後4か月以内に提出しなければならない届出のことです。
書類の内容は、決算書の内容+工事関係の金額の内容が記されており、一年間の経営状況だけではなく、どれだけ工事を請け負ったかなどを記載する必要があります。

2.出さないとどうなるの?

出さない場合は次のようなリスクが存在します。

①許可の更新ができない

大阪府の場合、更新時には決算変更届の副本が5期分必要なので、不足している場合、更新申請ができません。
不足分を提出してからの更新申請となるので、更新期限に間に合わない可能性も出てきます。
最悪、許可の満了日までに間に合わなければ許可が取消となり、新規で取りなおさなければならない危険性もあります。

②経審を受けることができない

経営事項審査を受ける事業所は、決算変更届を経営状況分析機関に提出しなければならないため、作成していない場合は受けることができません。
経営事項審査が受けられないということは、公共工事の入札にも参加できないということになってしまいます。

➂提出していないことがばれる

決算変更届はどなたでも閲覧できるようになっています(建設業法第十三条第一項から第六項、建設業法施行規則第十二条第一号から第八号、建設業法第十三条第一項から第六項、建設業法施行規則第十二条第一号から第八号より)。
これは決算変更届に限らず、変更届や申請書(一部個人情報を除く)も対象です。
提出していないことがばれてしまうと、元請や下請けからの信頼度の低下につながる恐れがありますので、できる限り遅れないように提出しましょう。

④刑罰に処される可能性

建設業法では、必要な届出を提出していない場合、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金に処すると記載されています(建設業法第五十条第一項第二号)。

ですが、大阪府の「決算変更届の提出について」を見てみると 「期限内に提出されない場合には、個別に指導を行い、なお改善されなければ、建設業法に基づく監督処分を行うことがあります。」としか書いていません。
なので、刑罰に処される可能性は低いと思われますが、 ゼロではないので気を付けましょう。

3.必要書類一覧

[法人の場合]

・決算変更届の表紙 変更届出書(府規則様式第3号)
・工事経歴書(省令様式第2号)
・直前3年の各事業年度における工事施工金額(省令様式第3号)
・使用人数(省令様式第4号)
・建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(省令様式第11号)
・定款の写し
・貸借対照表(省令様式第15号)
・損益計算書、完成工事原価報告書(省令様式第16号)
・株主資本等変動計算書(省令様式第17号)
・注記表(省令様式第17号の2)
・附属明細書(省令様式第17号の3)
・法人事業税納税証明書(原本)
・事業報告書
・健康保険等の加入状況(省令様式第7号の3)

※健康保険等の加入状況は、従業員数の変更の場合のみ決算変更届と同時に変更が可能です。  
※なお、社会保険や雇用保険の加入状況に変更があった場合は、社会保険の変更届が必要です。

[個人の場合]

・決算変更届の表紙 変更届出書(府規則様式第3号)
・工事経歴書(省令様式第2号)
・直前3年の各事業年度における工事施工金額(省令様式第3号)
・使用人数(省令様式第4号)
・建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(省令様式第11号)
・貸借対照表(省令様式第18号)
・損益計算書(省令様式第19号)
・下記のいずれか
 個人事業税の納税証明書
 所得税の確定申告書のうち税務署の受付印のある第一表の写し
・健康保険等の加入状況(省令様式第7号の3)

※確定申告書については第一表に受付印がなく、第二表に税理士等の記名捺印がある場合は第二表も必要です。
※健康保険等の加入状況は、従業員数の変更の場合のみ決算変更届と同時に変更が可能です。
※なお、社会保険や雇用保険の加入状況に変更があった場合は、社会保険の変更届が必要です。

まとめ

以上、建設業許可後の手続きのうち決算変更届について解説しました。
建設業許可を取得した後も様々な手続きが存在します。
決算変更届は一年に一回ですが、信頼度や更新の際に大きくかかわってくる届出なので、忘れないように気をつけましょう。
行政書士に依頼する場合は、事前にお知らせしてくれる方を選ぶことが重要になってくるかもしれません。