建設業者の兼業について

建設業者の兼業については判断が難しい場合が多いです。
不動産業など全く違う業種については兼業だと判断がつきやすいのですが、樹木の伐採やビルの点検管理などは一見、建設業務であると思ってしまいそうになります。

今回は、兼業かどうかの判断のしかたや決算変更届作成での注意点などについて解説していきます。

1.建設業者の兼業とは

建設業を営んでいる方の中には運送業や不動産業などの他の業種も営んでいる方も多いのではないでしょうか。
運送業や不動産業は明確に分かりやすい兼業なのですが、一方で、樹木の剪定や草刈り、点検などどこまでが建設業に含まれるのかが分かりにくい業務も存在します。

「兼業とは」に入る前に、建設業の定義について振り返りましょう。
建設業の定義については建設業法に明確に記載されています。

 この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。

引用:e-Gov法令検索建設業法第二条第2項より

つまり、建設している建築物が完成できるように工事を請け負う営業のことを建設業と呼びます。

結論として、兼業とは上記以外の全てを指します。
上記に当てはまらない業務は兼業であると判断しましょう。
兼業に当たる業務については千葉県の建設業許可の手引p.95にわかりやすく記載されています。

・自社で施工する建売用住宅の建築
・建設現場への労働者派遣
・樹木の伐採・剪定、草刈り
・道路清掃
・設備や機器の運転管理や保守点検業務
・測量や調査(土壌試験、ボーリング調査を伴う土壌分析、家屋調査等)
・建設機械や土砂などの運搬業務
・船舶や航空機など土地に定着しない工作物の建造
・建設資材(生コン、ブロック等)の納入
・工事現場の養生(換気扇にビニールをかぶせる、窓にシートを張るなど。はつり工事はとび・
土工工事)
・トラッククレーンやコンクリートポンプ車リース
(ただし、オペレータ付きリース(運転者がついている重機のリース)は工事に該当するので請負契約が必要)

ただし、許可行政庁により異なる場合があるので、実際に兼業にあたるかどうかは確認してください。

※建設業での作業員の労働者派遣は禁止されています。(契約書で人工出しと記載されている場合でも実態が請負であれば大丈夫です。)

2.兼業がある場合の注意点

まず、財務諸表については建設業の完成工事高(原価)と兼業事業売上高(原価)に分けて計上しなければなりません。
細かい数字が分からない場合は按分しましょう。
次に、建設業許可申請書の兼業の有無にチェックを付け、内容を書く必要があります。
内容と言っても詳しく書く必要はなく、○○業やビル点検保守業務など大まかで大丈夫です。

まとめ

以上、建設業者の兼業について解説しました。
建設業以外でも活躍されている場合は決算変更届や建設業許可申請時に兼業の記入漏れがないかどうかを確認しましょう。
また、兼業かどうか判断に迷った場合は許可行政庁にお問い合わせください。