建設業界の環境への取り組み

日本は高度経済成長期から目まぐるしく進化していきました。
中でも建設業は高度経済成長期以降も重要な役割を担っています。
多くの建築物が建てられ、便利になっていく一方で、多大なエネルギーや資源の消費、大量の廃棄物の発生など、環境に負荷をかけている面も存在します。

こうした課題に対し、建設業界は様々な取り組みを行っています。
建設業界が環境問題に取り組むことで、次の世代へ良い環境をつなげていくことができます。

今回は、建設業における環境への取り組みについて解説していきます。

建設における環境問題

建設における環境問題については主に下記のような事例があります。
・道路など耐久性が必要な工事についてはコンクリートやアスファルトを利用する必要があり、それによるヒートアイランド現象が起こってしまう
・解体工事などで簡単には処理できないような廃棄物が出てしまい、大気を汚染してしまう。
・がれきや木くずなどの建設廃棄物の不法投棄が発生している

上記のような事例が頻発することで取り返しのつかない被害や大気汚染につながるケースがあります。

他にも、コンクリートなどで便利になった代わりに野生動物が居場所を無くし、頭数が減少してしまったり、都市部に降りてきてしまったりすることや森林破壊なども問題となっています。

上記のような事例を踏まえ、昨今の建設業界では、環境保護の意識が強くなっています。

建設業界での取り組みについて

日本建設業連合会の建設業の環境への取組みという冊子によると、下記の3つを建設業で取り組んでいるとのことです。
・低炭素社会
 燃費が良い建設機械を利用することや建物の設計に省エネ機器を導入することにより、二酸化炭素の排出量を減らし、地球温暖化の抑制につなげていこうという取り組みです。
・循環型社会
 建設廃棄物の発生抑制や建設廃棄物の再利用、再資源化を推し進め、そもそもの廃棄物の量を減らしていく取り組みです。
・自然共生社会
 海や山などの自然や、まちでの動物との共生を目指して、生態系への影響を減らしていくという取り組みです。

また、民間の企業でも環境問題への取り組みを宣言している企業があります。
①清水建設 資源循環・環境汚染防止
 ・4R(リフュース・リデュース・リユース・リサイクル)※に取り組んでいる
 ・建設副産物(廃棄物と再生資源)の発生抑制と再資源化に取り組んでいる
 ・建設副産物の量を把握するために建設副産物データ管理システム「新Kanたす」を活用している
②五洋建設 環境保全への取り組み
 ・環境への負担を考えた技術の紹介をしている
 ・建設現場だけでなく、オフィスでの紙の削減にも力を入れている
③喜美代建設 環境方針
 ・環境の基本方針をまとめている
 ・カーボンゼロチャレンジという川崎市の環境改善のイベントに参加している

上記はごく一例ですが、他にも規模の大小問わず環境についての方針や取り組みをしている素敵な企業がたくさんあります。

中でも③の喜美代建設は地元の環境保全に協力しています。
自治体ごとに様々な環境保全の取り組みがされているので、ぜひ、参加してみてください。

日本の建設廃棄物の改善状況

現在の日本の建設廃棄物はどのくらいの増減があるのか、どれほどリサイクルが進んでいるのかを示した資料が、国土交通省の建設リサイクル推進計画2020に記載されています。

資料によると、
・建設廃棄物の搬出量が1995年には約9,900万トンあったのに対し、2018年では約7,400万トンになっており、この約20年間で2,500万トンも減少している
・最終処分量も1995年には約41%あったのに対し2018年には全体の廃棄物の約0.2%までに抑えられており、再資源化が進んでいる
・建築廃棄物のリサイクル率が97%とイギリスやイタリア、ドイツなどの先進諸国と比べても1番高くなっている

という結果になっています。
日本の建設業界や処理施設の方が工夫をして再資源化を目指し、環境保全に取り組んでいることがわかります。

まとめ

建設業界においては、環境問題に取り組む動きが広がっています。
建設工事において排出される二酸化炭素や廃棄物の削減、省エネルギー技術の導入、自然環境に配慮した建設技術の開発など、たくさんの取り組みが行われています。
建設業界が環境問題に積極的に取り組むことで、より持続可能な社会の実現へ進んでいくことでしょう。